2008年12月号
「バブルの生成と崩壊」「人類は環境・エネルギー政策で蘇るか?」
(1)「アメリカの住宅バブル」と「証券化バブル」の崩壊
- 人類は、「バブル」の「生成」と「崩壊」を繰り返してきました。 今回の世界的金融危機も、アメリカの「信用力の低い人に無理して貸したサブプライム住宅ローン」を組み込んだ「証券化証券」を、「利回りの良い証券として」世界中の金融機関がドンドンと購入したため、金融機関にとっては「貸したお金が手元にいくらでも戻ってくる仕組み」となり、住宅ローンをドンドンと貸しまくり、アメリカ人は住宅を買いまくり、住宅の価格がドンドンと値上がりしたことで「住宅バブルが生成」し、やがて行過ぎた泡(バブル)が増えすぎて、ついに証券バブルは崩壊したのでした。その上、アメリカの住宅ローンは「モーゲージローン」であり、返済できない時にはその担保にした住宅が銀行の所有になるだけで、それ以上の責任は借りた人に追及されない仕組みですから、住宅が値上がりすると思えばドンドン購入することになりますので、住宅バブルが発生しやすい仕組みが揃っていたわけです。
- さらに考えれば、今回のアメリカの金融危機の直接の原因はサブプライム住宅ローンの破綻ですが、世界的金融危機に陥ったもっと大きな原因は、「証券化証券バブル崩壊」であるといえます。 「サブプライム住宅ローン」という信用力の低い人に貸し付けたローンが組み込まれた証券化証券の利回りが高い(レバレッジが大きい)ことにつられて、世界中のファンドや証券会社や銀行等々の金融機関が買いまくり、売りまくったことが最大の問題であったのです。 ですから、「サブプライムの破綻」がなくても、「よく実態がわからないが利回りがいい証券が売れる」という証券化証券の行きすぎたバブルは、どうせ何時かは何かのきっかけで崩壊した、と言えます。
- しかし、どうして金融機関は「証券化証券のバブルを予見し、制御できなかったのでしょうか?」
金融機関は危険を見抜く専門家です。この危機管理能力の専門化が証券化証券の行過ぎたバブルを見抜けなかったはずはありませんが、なぜか見抜けなかったのです。どうしてでしょうか? 人類は、昔から「バブルの生成」と「バブルの崩壊」を繰り返して、あらゆる悲劇を経験してきましたが、いまだにバブルの崩壊を見抜き防ぐ方策を持つことができないでいます。 確かにある程度危機を見抜く為の検証方法を見つけてはいますがどうしてもできない部分があります。 それは、人間の欲望・感情の制御方法です。 株でも不動産でも証券化証券でも、ドンドン売れて「もっと値上がりしそうな勢い」を感じて「高揚感がある時」にも、しかし、心を澄ませていれば「一寸行き過ぎかな?」「値上がりの根拠が良くわからないが、どうしてかな?」と感じることはできるはずです。 この時、人は己の欲望・高揚感を抑えて「ここらで止めておこう!」と決断きるでしょうか? ほとんどの人は、「だけど、ここで止めたら他がやっているので今までのセアを失ってしまう」ことを恐れて「やっぱりもう少しやろう!」「慎重に見極めてやれば、危機は逃げられるさ」と考えてやり続けることになります。 しかし、「バブルの崩壊は一瞬にしてやって来る」のです。人は「危ない!」と「恐怖感を持ったら」、「一瞬にして身を締める」からです。「バブル」は「ジワジワと始まる高揚感で高まり」「恐怖感で一瞬にして終わる」ので、現実には冷静な検証や対策は役に立たないことが多いのです。最高の高揚感のある時に止めることができる人が居るでしょうか? そうですね、「腹八分で止めることができる人だけが個人的に利益を残せることになります」が、それができる人は極わずかですから、結局、今後も人類は「バブルの生成」と「バブルの崩壊」の歴史をを繰り返していくことになります。
(2)では、証券バブル崩壊・世界的景気停滞に対してどう対処したらいいでしょうか?
それは、過去のバブル崩壊とその後の経済再生の歴史を見ることから見つけ出すことができます。
- 1929年の世界大恐慌はニューヨークの株価大暴落から始まりました。 第一次世界大戦後、自動車産業が繁栄して好景気を続け、株が暴騰し、やがて行きすぎた投資が行き詰まり、バブルかはじけたのでした。 この時、アメリカでは労働者の4人に1人が失業した、と言われています。 この危機対応を迫られたルーズベルト大統領は、公共事業で雇用を創り出す「ニューディール政策」を打ち出して危機を切り抜けました。
- 20世紀は石油をエネルギー源とする自動車産業や重化学産業が世界経済を牽引した時代が続き、石油の利権を争って第2次世界大戦や、湾岸戦争が起きましたが、いずれもアメリカが勝ち残り、繁栄しました。 その間に、89年にベルリンの壁が崩壊し、91年にはソ連共産主義が解体して東西冷戦が終わり、インターネットが開発・普及とあいまって、アメリカ流の市場経済・自由主義経済が世界中に広がるグローバル化の波が来ました。 第一次石油ショック、第二次石油ショックやブラックマンデー(株価大暴落)もあり何度か経済危機が来ましたがその都度、「I・T革命」や「経済のグローバル化」でアメリカは経済危機を切り抜けてきました。 そして、2000年の「I・Tバブル崩壊」に対しては、「証券化証券の世界的普及」で「金融業のグローバル化」「証券化の波」を起こして経済危機を克服しました。
ファンドやリートの活躍は世界中のお金を集めて、都市再開発や企業の吸収合併や新興国への投資で世界中の産業構造を変えてきました。 しかし、その「証券化バブル」がはじけてしまったのが今回の世界的経済危機になってしまったのです。
- 「バブル崩壊対策」は「経済活性化の次の波を打ち立てること」
上記の検証から、「バブルの崩壊」は「繁栄の終末現象」と見ることができます。「証券化バブル」は崩壊しましたので、しばらくは証券化証券には人々は慎重になるので、ファンドやリートの復活は簡単にはできないでしょう。
ならば、バブル崩壊の対策は、「経済活性化の次の波を打ち立てること」である ことがわかります。 では何が次の産業の中心軸になるのでしょうか?
- まず、アメリカの現状認識をして見ます。サブプライム問題に端を発したアメリカの金融危機から、アメリカの実態経済の落ち込みが激しく、08年後の新車販売が前年比18%減の1,324万台(過去7年間の平均販売台数は1,680万台)になってしまいました。 この水準が続けば、アメリカの基幹産業である自動車のビックスリー(アメリカ大手三社)の再建が困難になり、日本の自動車メーカーも抜本的な対策を迫られる事態です。 アメリカの失業率は7.2%(日本は3.9%)、08年度は年間258万人の雇用が減りました。 こんな状態ですから、アメリカの不動産と株が下がり、その為アメリカの個人家計が保有する資産も$711,136(¥6,400兆円)となり(日本の家計資産は1,500兆円)、1年間に$66,664(¥600兆円)も減ってしまいました。GDP比70%あるアメリカの消費も落ち込み、日本の製品も売れません(対米輸出は55%減)。
89年ベルリンの壁が崩壊し、91年にソ連共産主義が解体したため、アメリカ主導の自由主義・市場主義・資本主義経済が地球上に広がり、経済がグローバル化しました。 インターネットの普及もあり、情報の伝達も、お金の流れも、良いことも悪いことも、一瞬にして世界中に広がります。 そこで、世界の中心であるアメリカの金融危機はアッと言う間に世界中に広がり、「アメリカこけたら、皆こけた」と言う状態の世界経済になってしまいました。 この為、自由主義・市場主義のリーダーであるアメリカに早く立ち直ってもらうことが一番大事なことがわかります。
(3)「環境(自然)・エネルギー」は次の繁栄の柱になれるか?
- 08年8月、アメリカの次期大統領オバマは、「グリーンジョブ」と題して、今後10年で太陽光や風力発電などの環境エネルギーに$1,500億(13兆5,000億円)を投じて、500万人の雇用を創出し、地球を救う、と言う構想を表明しました。 これを「ニューディール政策」になぞらえて「グリーン・ニューディール政策」と称し、「証券化バブル」後の世界経済建て直しの原動力になる、と期待できます。
20世紀は「石油の時代」でしたので、安くて便利な石油に頼りすぎて、CO2が増えすぎて、「地球温暖化」で地球が壊れそうな状態となり、「環境とエネルギー」が大問題となって人類に迫っています。 更に、BRICsや東アジア諸国等々の国が経済発展を遂げ、石油・工業原料・食品等々が地球規模で不足してきていますので、「石油に頼らないクリーンな自然エネルギーの開発」が必要になりました。 ここに目をつけて健康と環境をテーマにした「環境エネルギー構想」で「雇用創出政策」を打ち上げたのがオバマ大統領のなのです。
- 欧州各国も「環境エネルギー政策」に動き出しています。
イギリスは20年までに風力発電を7,000基建設し、16万人の雇用を創出する目標を掲げ、フランスは環境分野で50万人の雇用を生み出す計画です。 中国は景気対策として53兆円を投資して環境エネルギー分野に重点を置くとし、韓国もエコカーの普及や太陽熱のような再生可能エネルギー開発に3兆5,000億円を投資する、としています。
- 日本政府も環境省を中心に「日本版グリーン・ニューディール構想」の策定に着手しました。 具体的には、「省エネ住宅等の普及促進」や「企業の環境関連投資への支援」等を想定しています。 省エネ家電や低燃費自動車の市場拡大だけでも7万人の雇用が創出できる見込みです。 しかし、日本の取り組みは、内容が貧弱であり、いかにも遅いのが残念でなりません。 今から策定しても、09年度予算には間に合わないし、緊急対策としての迫力に欠けます。 首相自ら動き、「新エネルギー構想」を打ち出すべきです。
日本は、幸いにもサブプライムローンで金融機関が傷ついていないし、企業にも内部蓄積の資金があります。 国民にも1,500兆円の金融資産があります。 諸外国が金融で苦しみ、経済がおかしくなった為、輸出が落ち込み、やや将来不安になっているだけです。 こんな時こそ、将来構想を打ち出し、国民に将来展望を開いて見せるのが、国のリーダーでなければならないのです。 10兆円くらいの予算を組み、思い切った「環境(自然)エネルギー政策」を打ち出すべき時です。
- 「太陽光発電」「風力発電」「海流発電」「地熱発電」「原子力発電」「水力発電」等々の発電事業に補助金支給や税制上の優遇を与える。
- 「太陽電池」「リチウム電池」「燃料電池」「蓄電装置」その他のクリーン発電関連設備等々に補助金支給や税制上の優遇を与える。
- 「電気自動車」「燃料電池自動車」「水素エンジン自動車」「ハイブリット自動車」 に補助金支給や税制上の優遇を与える。
- 「海水から水素を取り出す研究」「海底からメタンハイドレードを取り出す研究」 に補助金支給や税制上の優遇を与える。
- 省エネに貢献する建物や部材、器具類に補助金支給や税制上の優遇を与え、逆に、石油エネルギーを大量消費する物やビルには、CO2税を課して省エネに勤めさせることも必要になります。
- 具体的には、省エネを促進し、環境に配慮した自然エネルギーを開発する為には、石油エネルギーを一番多く使っている「車」と「ビル」を対象にした省エネと自然エネルギー対策を推進すればいいのです。 例えば、その両方に配慮したビルには国が「グリーンビル」としての認定を与えて、補助金や税制上の優遇を与えると効果が出るでしょう。 車についても同様の方法を採るべきでしょう。また、自然エネルギーは、天候の影響を受けますので、蓄電装置の開発と普及に努めて、電力の安定供給ができるようにすべきでしょう。その他、地球環境や人間の健康に役立つ物や生き方に対して、それを社会が評価し優遇する制度を作ることも必要になります。
以上のような事を目標に掲げ、成功したら、日本は環境エネルギー大国になり、世界の人類に感謝され尊敬される豊か国になれます。
世界中が証券バブルの崩壊による経済危機で苦しんでいる時に、次の産業の柱になる「環境に優しい新エネルギー」や「省エネ」の研究開発で世界をリードしている日本が立ち上がらなくてどうするのですか? 日本のため、人類のため、今こそ日本が立ち上がる時です! 「日本は20年までにCO2を70%削減する!」そして「日本は世界の自然エネルギーの先進国になる!」と言う宣言をしたら、国民に夢と目標を与えることができるし、みんな元気になれるのです。 1月21日に、オバマ新大統領の就任演説を聴いたら、アメリカ中が燃え上がり、それを見た日本の政治家も「新しい時代へのチェンジが何か?」そして「これから何をすべきか?」理解できるでしょうから、その日が楽しみです。
- 日本の企業は既に「グリーン・ニューディール政策」に沿った行動を始めている。
日本の政治は遅れていますが、日本の産業界には優秀な人材も多く、日本の金融機関は比較的傷ついておらず、個別企業も内部留保が大きいので、次の戦略に打って出ることができています。 「自然エネルギー」を次の産業の柱にしようと民間企業は頑張っています。
- 例えば、トヨタは電気自動車を12年迄に発売すると発表した。 パナソニックと共同開発しているリチウムイオン電池を搭載して、既に1回の充電で80キロまで走行できるところまで来ています。
更に、「太陽電池車」の開発計画を進めています。 既に造っているハイブリット車でも燃料電池車でもない、ガソリンを一滴も使わない太陽エネルギーだけで走る究極のエコカーを目指す計画です。 まず、自宅や車に設置した太陽パネルで起こした電気で車を走らせ、最終的には車のパネルだけで走る車を目指しています。
- 三菱自動車の電気自動車は、リチウムイオン電池を搭載し、1回の充電で160キロまで走れますので、今夏には世界で始めての量産体制に入ります。
また、三菱自動車は、電気自動車をフランスの自動車メーカーに供給することを表明して株価が急伸しました。
- 日産や富士重工も早期の市場投入を目指しています。 ホンダはハイブリット車や燃料電池車を、マツダは水素エンジンの研究を続けています。
- 日本板硝子と旭硝子は太陽電池パネル用ガラスを量産することを決めました。 日本板硝子は10年度迄に生産能力を二倍強に拡大します。 旭硝子は09年中にベルギーに加工拠点に設けます。
- シャープはイタリアに現地の電力会社と共同で太陽電池工場を新設する。 カネカは年産能力を15年までに15倍に引き上げる計画を発表しました。 昭和シェル石油や、その他の太陽電池メーカーも相次ぎ増産計画を発表しています。
- パナソニックは、三洋電機を子会社化して、三洋電機の持つ太陽電池などの環境エネルギー分野に1,000億円を投資する方針を表明しています。
その三洋電機は新日本石油と折半出資で次世代型太陽電池を量産する新会社を設立する方針を出しました。 三洋電機は既にリチウム電池では世界シェア第1位ですので、薄膜型の太陽電池でも世界シェア拡大を狙う構えです。
- そこで、政府と国内の太陽電池メーカー、住宅メーカーは、09年度から住宅用太陽光発電システムの規格統一に乗り出すことになりました。太陽光パネルのサイズや付属機器の規格を揃えることで、住宅に設置しやすくするほか、関連メーカーの競争を促し、コストの低減につなげ、普及を後押しすることにしています。
政府は、20年までに現状の10倍、30年までに40倍にする目標を掲げています。 この目標達成のためには、20年までに新築住宅の70%に太陽光発電を設置する必 要があります。
- 電力中央研究所は、住宅用で使う電力貯蔵電池の実用実験に乗り出します。 開発に成功した電池は、「全固体電池」と呼ばれ、現在のリチウムイオン電池を超える高容量で安全な電池が実現しそうですので、太陽光や風力で発電した電気を家庭で大容量に蓄電できることになります。
また、電子部品大手のFDKは、次世代蓄電装置の量産計画を立てています。
- 東芝は発電所向けの大規模な太陽光発電システムの製造、販売に参入する、と発表しました。 自社で製造するインバーターや変圧器などの装置に、外部調達の太陽光発電パネルを組み合わせた東芝ブランドの発電システムとして発売の予定です。
- 三菱重工業はフランスのアレバと原子力発電所用燃料を共同生産や原発開発をすることになっています。
- 三菱マテリアルとJパワーは、地下の熱水や蒸気を利用した「地熱発電所」を新設す
る計画をを発表しました。 09年度から事業化し、400億円投じて出力6万キロワットの発電設備を造ります。 日本は地熱資源が世界でも第3位と恵まれており、CO2をあまり出さず、燃料価格の乱高下もない地熱を国産エネルギーとして活用する動きが広がりそうです。 日鉄鉱業と九電は霧島市で、出光興産は大分県九重町で本格的な調査を始めます。
- また、商社は、海外発電に大型投資を計画しています。住友商事は12年までに2,000億円を投じて、インドネシアに保有する発電所の出力を2倍に引き上げます。 伊藤忠商事はアメリカでGEグループから発電所の権益50%を買収した。 発電事業は、地元の電力会社による長期買取保障があるなど安定収入を確保できる長所があるからです。 丸紅は関西電力、JBIC、と共同でシンガポール最大の電力会社セノコパワーを30億円で買収しました。 三菱商事、三井物産もアジアや中東で発電所の新設や能力拡大を計画しています。
(4)われわれ個人は、今どうしたらいいか?
- 日本人個人(家計)は¥1,500兆円の金融資産と¥1,000兆円の不動産資産を持っています。 アメリカの個人金融資産は今回の不況で$600兆減りましたが、それでも¥5,800兆円($64兆5,000億)ですので、日本の家計は世界第2位のお金持ちです。 この日本人の家計資産を有効に使えば、日本経済の復活に大いに役立ちます。
今日本人のお金は、株や投資信託から預貯金に移動しています。 証券バブル崩壊のせいで株や投資信託やリートやファンドが値下がりして個人も40%〜60%位の損をしたので、安全資産である定期預金に移す人が増えているのです。 預金が多くなれば、銀行の貸出資金が増えるので、それだけ住宅ローン融資や企業融資が増えて、その面では社会貢献にもなりますが、
しかし、お金持ちになりたかったら、「不況の時に買い、好況の時に売る」ことができなければお金持ちにはけっしてなれません。
- 株を買うなら今後の産業の中心になる「環境・エネルギー分野」に投資すれば、社会
の役に立ち、5年後には大きな利益も帰ってくるでしょう。
- 不動産も、この1年間は、買う人が慎重になっていますので、売り物件が増えてきています。・ 住宅を買う人は、今から1年間は、多くの中から、自分に合った良い物を選んで、安く買うチャンスの時です。 金利も安いし、今なら銀行も住宅ローンを優遇金利で積極的に貸してくれます。 今国会で「最大¥600万円の住宅ローン控除制度」が成立すれば、買い易くなる為、売れ始め、価格も底を打つことが予想されます。
・ これからお金持ちになりたい人は、利回りのいい収益物件を安く買うチャンスの時です。 減価償却ができる程度の良い中古物件が狙い目です。 ただ、収益物件への融資は厳しくなっているので、手持ち金を40%用意できるか、別担保を提供できる人でないと買えません。 両親からの援助は¥2,500万円までは非課税ですので、力のある親に資金援助か、担保提供をお願いすることもこの際考える時かも知れません。
・ 既にお金持ちの人は、収益物件の買い替え時です。 10年超の物件は売って、新しい時代に合った物件に買い換えるのが本当のお金持ちのやり方です。
- ところで今後の住宅状況の将来性はどうなるなるでしょうか?
今現在は、サブプライム問題から世界的金融危機が生じ、世界的な景気後退局面ですが、下記の根拠から、日本での住宅需要は当分続くと言えます。
・ 住宅は、人が生きていくのに必要な衣・食・住の一つであり、景気不景気にかかわらず雨風寒さを防ぐためにどうしても必要とする物・実需です。 日本人は29歳で結婚し、32歳で初めての家を買い、38歳で大きな家に買い換える、というデータがあります。 妻や子供との生活を守るために、30歳〜45歳位の間に自宅を買いますので、この年齢層がどれだけ居るかで、住宅の需要が決まります。
この住宅を必要とする購入層である団塊のジュニア層(31歳〜40歳)が今日本には1,890万人居ますので、2013年をピークにして住宅の需要は盛んになります。 また、団塊の世代(56歳〜60歳)が1,280万居て、第二の人生を目指して買換をしますので、この人達の買換需要も当分盛んに行われます。
・ また、日本全体では人口減少時代が近づいていますが、それは地域により異なり、特に東京首都圏では2030年まで人口は増え続け、GDPも10.7%伸びるとの予測がされています(05年通産省地域経営研究委員会発表)ので、首都圏でも有数の人が住みたい街・浦安では当分人口減少や、地価下落の心配は少ないでしょう。
・ 更に、先日国交省の不動産課の方々と不動産業界代表の懇談会に出ましたが、今後は日本の中古住宅の寿命を永くして価値ある物として取引されるようにし、国民の財産を守ることができるようにしようと、「建物査定」や「耐震診断」を推進して「住宅履歴書」に記入することを売主の義務にする方向で法案化が進められています。 中古住宅の将来性は高いと言えます。
以上から見て、「自宅の売買」は「自分の家庭を守るために買わざるをえない実需」であり、今回の利益目的の商業用不動産の値下がりに多少は引きずられながらも、堅実な売買が今後も継続するものと考えられます。 特に、今回の金融危機の影響で不動産業や建築業が新築のマンションや建売一戸建ての販売を縮小しているため、自宅が欲しい人は、今回の「住宅ローン控除¥500万」を使って、「建物査定」「耐震診断」をした「安心して買える・割安な中古住宅」を買う人が増えると予測します。
そして、これを契機として、質の良い中古住宅の取引が拡大すれば、日本の住宅の寿命も30年から60年位に伸び、80%の人が持っている国民の財産である自宅が、老後資金として国民を支えることができることになります。
中古住宅の売買や賃貸を主な仕事としている不動産業者として、「住まいに関する個人のいろいろな夢を実現する仕事」「個人の家庭の幸せ造り」のために今回の住宅ローン控除制度を活用して、ひいては日本国の景気拡大に貢献できることを誇りに思い頑張りたい、と思っています。
住宅ローン控除が最大で¥500万円還付になる!
これで、住宅が売れて、内需が拡大し、景気が良くなる!
・・・ということを心から願っています。
Written by 今泉浩一
Copyright©
2009 SUKIURAKAI. All rights reserved. |